更新日:2024年11月1日
「作業すべてが、最高の革を製造するためであり、細かな作業でも手を抜かず、誠意を込めて行っています」と草加の皮革産業を代表する職人の一人である伊藤氏は語る。
彼の言葉には、草加の職人たちが長年守り続けてきた伝統と、革に対する真摯な姿勢が凝縮されている。
草加の皮革産業は、職人たちの深い思いと揺るぎないこだわりによって、約90年もの間、支えられてきた。
その中でも、昭和27年から草加で革のなめしと染色を手掛けてきた伊藤産業は、革に対して誠実なものづくりの精神を貫いている。
革の素材である動物の皮は、種類や生まれた土地によって、その表情が大きく異なる。
同じ種類の動物であっても、一つ一つ異なる個性を持つため、職人たちはその違いを見極め、最適な処理を施す。
さらに、気候や季節の変化によっても革の状態が左右されるため、その時々に応じた繊細な手入れが必要となる。
こうした作業を支えるのは、長年にわたって培われてきた職人たちの経験と感覚であり、革を知り尽くした者にしかできない職人技である。
職人たちは、革という素材そのものに深い敬意を払い、最良の状態へ導くために長い年月をかけて技術を磨き、経験を積み重ねてきた。
彼らは、革の一枚一枚に真摯に向き合い、その生命を決して無駄にすることなく、新たな価値を生み出す技法を常に追求し続けている。
このひたむきな姿勢こそが、草加の皮革産業に根付いた精神であり、時代を超えて受け継がれてきた大切な伝統なのである。
PROFILE
伊藤 達雄(いとう たつお)
伊藤産業株式会社
住所:草加市瀬崎2-20-18
電話048-922-2575
伊藤産業では、世界各地から輸入された羊皮のなめしから、染色仕上げまでを手掛けている。
伊藤氏は、そうか革職人会の会長としても、草加の皮革産業の認知向上と地域への貢献に尽力している。
「伊藤産業の工場」
約2000枚もの革が干され、その壮観さが圧倒的な存在感を放つ
そうか革職人会
2002年発足。
事業者間の交流や連携、若手育成に尽力。
草加の皮革産業を支える礎となる組織。
約30社が参画(令和6年10月時点)。
関連リンク
- そうか革職人会(外部サイトにリンクします)