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草加市

令和5年度施政方針

更新日:2023年3月6日

五大戦略+αで共に手を取り合い
「だれもが幸せなまち 草加」の実現へ

五大戦略

  1. だれ一人取り残さない
  2. 未来花ひらく、子育て・教育のまち
  3. 国と県とのネットワークで地域経済を活性化
  4. 「安心・安全・環境」 暮らしに寄り添うまちづくり
  5. 「だれもが幸せなまち」の理念を実現

2月22日、市議会2月定例会が開会し、山川市長が施政方針を発表しました。

「新型コロナウイルス感染症やウクライナ侵攻、円安など混迷を極める社会情勢の中で、本市が選ばれるまちとなれるよう未来を切り拓き、市の魅力やまちづくりを強く発信していかなければなりません。

五大戦略+αで皆様のご理解とご協力のもと『だれもが幸せなまち』の実現に向け全力で市政運営に臨んでまいります」と市政運営の基本的な考え方、及び令和5年度における重点施策の具体的な取り組みを述べました。

以下に、令和5年度施政方針の全文を掲載します。

山川市長

令和5年草加市議会2月定例会開会に当たりまして、市政運営に臨む所信の一端を申し述べ、議員の皆様をはじめとする市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

私は、昨年10月の市長選挙におきまして、市民の皆様からのご信託を賜り、草加市政を担うこととなりました。私は、これまで埼玉県議会議員を4期15年、衆議院議員を1期4年の経験を積み重ねてまいりました。その間、様々な角度から市民の皆様の声を受けとめ、光のあたらないところに光をあて、政治を通じて世の中に少しでも変化をつくりだしたいとの強い想いで活動してまいりました。

コロナ禍も相まって社会全体に閉塞感を感じる中、愛する草加で暮らす市民の皆様にとって、より一層身近な存在として、暮らしを守り、明るい未来に向け、お一人おひとりの幸せを追求していきたいとの想いで、草加市政を担わせていただくことになりました。新年度を迎えるにあたり、その職務の重責に改めて身の引き締まる思いです。

市長選挙の際、市民の皆様との対話を通じて、声にならない想いを聞き、感じ取り、市政運営を行っていくことをお約束しました。市内で活動・活躍されている幅広い分野の団体や、学生や子どもたち、高年者の皆様、主婦の方や経営者、お勤めの方など様々なお立場の市民の皆様との対話の場を設けていきたいと考えております。

このように、これからの草加の未来は、市と市議会、そして市民の皆様との対話を通じてパートナーシップを培い、共に手を取り合って築いていきたいと考えています。「だれもが幸せなまち 草加」の実現に向け、市民の皆様、議員の皆様のご協力を改めてお願い申し上げます。

これまでとこれから

さて、私が生まれ育ったこの草加市は、これまで急激な都市開発が進むなか、東京近郊のベッドタウンとして栄え、現在では人口25万人を超え県内で6番目に人口の多い自治体へと成長してまいりました。

本市が大きく変貌を遂げたのは、昭和30年代頃からです。

多くの先人の皆様のご尽力のもと、昭和33年に市制を施行、昭和37年には草加松原団地の入居が開始され、草加八潮工業団地が開設されました。

かつての草加松原団地
かつての草加松原団地

高度成長の波に乗って本市の人口は飛躍的に増加し、小中学校などの教育施設や上下水道などの都市基盤が整備されてきました。

その後も、東武鉄道の高架複々線化、東京外かく環状道路や東埼玉道路の建設、綾瀬川の改修と放水路の建設、駅前の再開発事業や土地区画整理事業などの大規模プロジェクトにより、都市の骨格づくりが進んできました。

また、市民の皆様の憩いの場であるそうか公園や、噴水を有したまつばら綾瀬川公園などの都市公園の整備、子育て支援の拠点整備、社会教育や地域活動の拠点施設である公民館やコミュニティセンターなど、市民の皆様の生活に密着した施設の整備も進み、令和2年4月には、総人口が25万人を突破し、現在も緩やかな人口増加を維持しております。

さらに、近年では、草加柿木産業団地である柿木フーズサイトの整備が進められ、新田駅周辺の土地区画整理事業も骨格が見えてきました。

また、国により東埼玉道路の自動車専用部が事業化されるなど、広域的に影響を及ぼすインフラ整備も動き出しています。

新田駅西口整備イメージ図
新田駅西口整備イメージ図

一方、草加のまちは、子育てや子どもの育ち、地域・ふるさとづくりや商業・工業・農業によるまちの元気の創出など、直面する様々な課題を解決したいと願う切実な想いをもった市民の皆様の主体的な活動によって、つくりあげられてきました。保育や生涯学習、まちづくりにおいて、市民の活動が先行し、行政がそれを後追いするような流れを、地域活動の中で育ってきた私自身が身近に経験してまいりました。

そのような中、平成16年に「草加市みんなでまちづくり自治基本条例」が制定されました。その前文は市議会によって起草され、市民の想いを集約し、本条例によって、市民自治の実現と、市民と市議会そして行政の対等なパートナーシップによるまちづくりの理念が明確に掲げられました。

この理念のもとに設置された草加市まちづくり応援基金を活用した市民団体の数は、令和3年度までの18年間で132団体にのぼり、地域のにぎわいづくりや市民の健康増進、子育て支援、環境美化などの多岐にわたる分野で、行政では手の届かないきめ細やかな活動を展開し、市民生活を支えていただいています。

私は、本市の最高規範であるこの「草加市みんなでまちづくり自治基本条例」に掲げられた「だれもが幸せなまち」の実現に向け、草加のまちづくりの担い手であるすべての市民の皆様のお力添えをいただきながら、草加の未来を切り拓くために全力で市政運営に臨んでまいります。

社会経済状況等

国内では、令和2年に初めて新型コロナウイルス感染症が確認されて以来、感染拡大を抑制するために、日本のみならず世界各地で社会・経済活動の制限が行われてまいりました。最初の緊急事態宣言以降も感染拡大の波が断続的に到来し、油断のできない状況が続いています。

その一方で、令和3年から始まったワクチン接種に加え、ウイルスの主体が重症化率・致死率の低い変異株に置き換わってきたことにより、令和4年には日本を含む多くの国で感染拡大防止のための社会・経済活動の制限が緩和され、コロナ禍による経済への影響は解消に向かいつつありました。

しかし、ロシア連邦によるウクライナ侵攻が開始されると、世界経済は再び減速を余儀なくされる事態に陥りました。加えて、中国のゼロコロナ政策も世界経済へ打撃を与える一因となりました。

また、日本国内においても米国におけるインフレ抑制のための政策金利引き上げにより、昨年3月頃から円安が進んだことが経済成長の足かせとなりました。

新型コロナウイルスのパンデミックやウクライナ侵攻により原料不足が深刻化する中での円安は、製造業に打撃を与え、更なるエネルギー価格や物価の高騰を呼び、家計に大きな影響を与えています。円安の傾向は一時期より落ち着いてはいますが、今後も米国を中心とする諸外国の金融政策が日本の金融・為替市場へ与える影響などを注視していく必要があります。

このように混迷を極める社会情勢に翻弄される一方で、我が国は未曽有の人口減少に直面しています。このことは本市も例外ではありません。コロナ禍の出口が見えはじめ、様々な社会経済活動が本格化に向けて動き始めようとしている今、草加の未来を切り拓くため、自治体の地域間競争に遅れを取ることなく「選ばれるまち」となれるよう、様々な施策を通じて、本市の魅力やまちづくりの基本姿勢を力強く発信していかなければならないと考えております。

私は、このような舵取りの難しい状況だからこそ、皆様と手を携えながらしっかりと未来を見据え、だれもが幸せを感じられるための施策を推進してまいります。

市政運営の基本的な考え方

令和5年度の市政運営に向けては、私が選挙の際に掲げさせていただいた五大戦略を念頭に、各種事業に取り組んでまいります。

五大戦略の分野は、「福祉政策」「子ども政策」「経済活性化」「まちづくり」「市民が主役」の5つです。

はじめに、一つ目の「福祉政策」では、高齢者・若者・乳児まで「だれ一人取り残さない」福祉を目指します。

高年者をはじめとするお一人おひとりの福祉ニーズを丁寧に把握し、適切な支援につなげていくとともに、ニーズが多様化・複雑化する中で、支援する側も、寄り添う姿勢とともに重層的な支援が行えるよう、様々な担い手との連携も図ってまいります。

次に、二つ目の「子ども政策」では、「子育て・教育のまち」に本気で取り組みます、と掲げています。子育て支援の充実においては、子育ての経済的負担の軽減とともに、保育の多様なニーズに応えていきたいと考えております。

また、教育においては、確かな学力と世界につながる教育の充実を目指します。これらを通じて、子育て世代に魅力があり活力もある草加市として、内外に発信していきたいと考えております。

「子ども政策」の基本は、子どもを中心に据えることです。折しも、国では、こども家庭庁の設立にあたって「こどもまんなか社会」を掲げました。本市においても、子どもの権利を尊重し、国同様、政策に子どもの意見を反映するために、子どもたちの声にも耳を傾けていきたいと考えております。

次に、三つ目の「経済活性化」では、国と県のネットワークを駆使して、地域経済の活性化を目指します。創業や事業承継の支援、地元企業の海外展開の可能性を広げるなど事業者への支援に併せ、女性の活躍を後押しし、子育て世代に選ばれる環境づくりを通じた地域経済の活性化を図ってまいります。

次に、四つ目の「まちづくり」では、安心・安全・環境・暮らしに寄り添うまちづくりを目指します。

地域交通の整備、宿場町としての歴史・文化を活かすとともに、未来につながるまちづくりのために、SDGs未来都市選定に向けた取組を推進してまいります。

最後に、五つ目の「市民が主役」では、本市の最高規範である「草加市みんなでまちづくり自治基本条例」の理念の実現を目指します。

これは五大戦略の一丁目一番地、根幹となるものです。条例前文では「私たち草加市民は、このまちと人を愛し、デモクラシーの精神にのっとり、このまちが『市民の市民による市民のため』の存在であることを自覚し、すべての市民の自由と平等と公正を保障する『だれもが幸せなまち』をつくります」と謳っています。この理念の実現に向け、市と市議会、そして市民の皆様との対等なパートナーシップを推進し、これからの市政を運営してまいります。

また、行政の継続性の観点から、本市の最上位計画である第四次草加市総合振興計画、第二期基本計画との整合を図ることも重要です。五大戦略と総合振興計画はその目指すところに共通性があり、例えば、計画の重点テーマの「持続可能性の向上」には、五大戦略の「福祉政策」「経済活性化」「まちづくり」が、同じく「ブランド力の向上」には、五大戦略の「子ども政策」「経済活性化」が、そして「コミュニティ力の向上」には、五大戦略の「まちづくり」「市民が主役」が対応しているものと考えております。

具体の事業については、市の財政状況や人員体制等を総合的に勘案し新年度から順次着手してまいりますが、その中の主な事業についてこの後、ご説明いたします。

なお、私はこの五大戦略にプラスアルファとして「対話のために飛び出す市長」を掲げております。価値観がますます多様化する中で、市民の皆様のニーズ、ご要望も様々です。市の財政状況を含む現実の中で、何をどう進めていくのか、優先順位をどうつけていくのかを含めて、対話の機会も積極的に活かしながら、市議会、そして市民の皆様のご理解とご協力のもとで市政運営を担ってまいります。

令和5年度の主要事業

こうした基本的な考えに基づき行った新年度の予算編成は、大変厳しい財政状況の中での予算組みとなりました。

新庁舎の建設に一定の目途が付く一方で、全体の歳出は思った程には削減することができず、財政調整基金からの繰入れを過去最大の約55億円とすることで何とか令和5年度当初予算を編成することができました。不安定な社会経済状況の中においては、様々な課題に対し、新たな手法の検討や発想の転換など、不断の努力による柔軟な行政運営が求められます。将来の人口減少や少子高齢化の進展により、今後は更なる厳しい財政運営が見込まれることから、中長期的な視点に立ち、健全な財政を堅持することで、将来にわたって市民の皆様に必要な行政サービスを確実に提供してまいります。

それでは新年度に取り組む主な事業について、第四次草加市総合振興計画、第二期基本計画における3つの重点テーマに沿って述べさせていただきます。

重点テーマ(1) 五大戦略 1.3.4
持続可能性の向上

重点テーマの一つ目は、「持続可能性の向上」です。

新型コロナウイルス感染症の確認から3年が経過し、ワクチン接種や治療薬の開発が進む中、新型コロナウイルスとの共存のフェーズを迎え、今後、更なる「ウィズコロナ」の政策を推進する必要があります。

新たな変異株による感染再拡大への不安など、未だ予断を許さない状況が続いておりますが、引き続き感染防止対策の徹底を行いながら、国や埼玉県と連携して社会経済活動との両立を図るとともに、これまでの経験をもとに、市政運営においても柔軟かつ積極的に本市が直面する様々な課題を乗り越えてまいります。

また、将来の人口減少や少子高齢化による人口構造の変化への対応や気候変動による自然災害の激甚化、誰もが被災者となり得る状況にも行政として対応していかなければなりません。

市民の皆様の生活を守るための取組として、公共施設の維持・更新やインフラの整備等を進めるとともに、誰もが持続的に安心して暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。

安全・安心なまちづくり

はじめに、「安全・安心なまちづくり」に関わる取組について申し上げます。

現在、最終段階を迎えている新庁舎の建設事業につきましては、本年3月の竣工、5月のゴールデンウィーク明けからの仮オープンを予定しております。待望の新庁舎完成により、これまで分散していた市役所機能が一元化され、利便性の向上が図られるほか、災害時に迅速かつ適切な対応を図るための映像音響機器などを導入した災害対策室が常設されることとなり、災害対策本部の機能も強化されることになります。

また、庁舎の出入口や窓口等に防犯カメラを設置し、来庁者や職員の安全、関係者以外の侵入防止など、犯罪発生の抑止及び事故発生時の早期解決等に努めるとともに、AIによる窓口案内システムなどの「スマート窓口」を導入し、窓口機能のデジタル化を図ります。

建設がすすむ新庁舎
建設がすすむ新庁舎

新庁舎への機能移転後の第二庁舎につきましては、保健センターや郵便局等として活用するため、レイアウト変更に伴う改修工事を行ってまいります。

新庁舎の完成に伴う周辺整備につきましては、市役所周辺の道路改良工事を行うとともに、新庁舎の仮オープンに伴い、駐車場が不足することが予想されることから、中草加郵便局敷地を取得し、駐車可能台数の増加に向けた取組を進めてまいります。

老朽化、狭隘化した草加消防署の建て替えにつきましては、総合的な消防力と多発する自然災害への対応能力の向上が、市民の皆様の生命や財産を守るうえで必要不可欠であることから、大規模災害にも対応できる施設として、令和7年度中の供用開始に向け、草加八潮消防組合と連携して取り組んでまいります。

また、治水対策のために必要な都市基盤整備につきましては、大型台風や局地的大雨など激甚化する風水害に備え、排水路、排水施設の整備や適正な維持管理など、総合的な治水対策を計画的に進めてまいります。

地域における防災力の向上

地域における防災力の向上につきましては、災害時に避難所となるスポーツ健康都市記念体育館における避難者の受入環境の改善と熱中症対策等に向け、空調設置工事を進めてまいります。

また、指定避難所の開設・運営及び訓練に必要な備蓄品や資機材の更新・充実を図るとともに、自主防災組織における防災士資格の取得に要する費用への補助を行い、自助・共助による災害対応を促進し、「まちの防災力」の強化を図ります。

さらに、災害時に水道本管から直接給水することができる応急給水栓を避難所となる小中学校に整備してまいります。

環境課題に対して

気候変動など環境課題に対する取組につきましては、「第二次草加市環境基本計画」の見直しを行い、環境を取り巻く社会情勢の変化に柔軟に対応し、環境の保全と創造に向けた施策を推進してまいります。

近年、人口減少や高齢化、社会的ニーズの変化等を背景に、年々増加している空き家対策の取組につきましては、行政や市民、関係機関・団体の連携により、空き家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、「草加市空家等対策計画」の令和7年度改定に向けた、市内の空き家調査を実施するとともに、空き家の所有者等への助言、指導や財産管理人制度の活用等を行ってまいります。

公共交通の推進

地域公共交通の推進に向けた取組につきましては、昨年12月に獨協大学前<草加松原>駅のホームドアが供用開始となりましたが、その他の市内3駅のホームドア設置においても、埼玉県と協調し、東武鉄道株式会社に支援を行ってまいります。

獨協大学前<草加松原>駅ホームドア
令和4年12月に設置された
獨協大学前<草加松原>駅ホームドア

自治体DX

自治体DXの取組につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止や、市民の皆様の利便性の向上、業務の効率化などを図るため、Web会議やテレワーク、オンライン申請など、デジタル技術を活用し、自治体DXの取組を進めているところでございます。今後につきましても、デジタル技術を活用し、各業務における課題の解消に取り組むとともに、自治体DXの柱の一つである、業務システムの標準化を進めてまいります。

地域経済の活性化

次に、「地域経済の活性化」に関わる取組について申し上げます。

産業振興に向けた取組につきましては、市内中小企業が抱える複合的な課題をワンストップで包括的に支援する拠点を整備し、専門人材による伴走支援を行うとともに、新たな事業展開等を積極的に進める市内中小企業を支援してまいります。

「草加地域経済活性化事業」の支援を通じた市内事業所の積極的な事業活動の促進と「企業立地促進奨励金」による市内での企業立地に取り組むとともに、個人版ふるさと納税の寄附額の増加を図るため、地場産品のPRを行ってまいります。

伝統産業展示室「ぱりっせ」
令和4年12月にリニューアルした
伝統産業展示室「ぱりっせ」

また、本市の事業に賛同いただける、市外に本社のある企業からの寄附を受け付けるため、「企業版ふるさと納税制度」を活用し、より多くの企業から寄附をいただけるよう、取り組んでまいります。

私は自立したまちづくり、健全な行政運営に向けて、自主財源の確保による財政力強化は欠かせないと思っております。その取組の一つとして、ふるさと納税制度等をより積極的に活用し「稼ぐ力」につなげてまいります。

だれもが地域で、いつまでも元気に暮らせるまちづくり

次に、「だれもが地域で、いつまでも元気に暮らせるまちづくり」に関わる取組について申し上げます。

スポーツ・健康づくり

スポーツ・健康づくりに関する取組につきましては、草加市スポーツ施設整備計画において、屋外スポーツの恒久的な場の確保を目的として市北東部スポーツ推進地区の整備に向けた用地取得及び事業予定地の造成に向けた取組を進めてまいります。

「そうか みんなで 健康づくり計画」に基づく取組につきましては、出産後のメンタルヘルスケア対策として、新たに産婦健康診査に係る費用を助成するとともに、産後に心身の不調や育児不安がある方、また、家族等から産後の支援が得られない方を対象に、心身のケアや育児サポート等のきめ細かい支援を行うことで、産後うつの予防や虐待の早期発見等につなげてまいります。

また、男性の罹患者数が増加している前立腺がんの検診を50歳以上の男性を対象に実施し、さらに高年者のフレイル対策として、保健事業と介護予防を一体的に行う事業を実施してまいります。

地域福祉の推進

地域福祉の推進に向けた取組につきましては、複雑化・複合化した課題を抱える市民の皆様が、地域のつながりの中で気軽に相談でき、孤立化することなく、課題の解決、改善に向けた支援を受けられるよう、重層的支援体制整備事業による包括的な相談支援体制の構築を進めてまいります。

五大戦略に掲げました「なんでも相談窓口」につきましては、重層的支援体制を整備する中で、市民の皆様のニーズに寄り添うサポート体制の構築を図ってまいります。

高年者の方々に対する取組につきましては、聴力機能の低下により日常生活や会話等に支障をきたしている高年者等に対し、閉じこもりや認知症の予防の一助となるよう、住民税非課税者に対する補聴器購入費用の助成を行ってまいります。

また、「地域包括ケアシステム」の取組として、地域のつどいの場や住民同士のつながりなど、地域資源の情報サイトを市民の皆様にご利用いただくことで、高年者支援や介護予防の取組を住民自らが主体となって行うことができるよう支援する体制を推進するとともに、在宅福祉センターきくの里において、高年者福祉の拠点となる地域包括支援センターを強化・支援する取組などを開始します。

障がい者・障がい児の方々に対する取組につきましては、「児童発達支援センターあおば学園」の新園舎整備を令和6年1月の供用開始に向けて進めてまいります。

児童発達支援センターあおば学園整備イメージ図
児童発達支援センターあおば学園
整備イメージ図

今後は、指定管理者制度の導入により、民間事業者のノウハウを取り入れることで、知的障がい児に加え、新たに医療的ケア児を含む肢体不自由児等の受入れも開始し、充実した療育を提供できるよう準備を進めてまいります。

また、「障害福祉サービス事業所つばさの森」について、通所者の重度化に伴い生活介護事業を新設します。また、重症心身障がい者の受入れに向けて、施設改修に関する設計業務を行うとともに、同施設の北側に面する障害者就労訓練農場を廃止し、跡地に地域の課題に対応する高機能グループホームの施設整備及び運営を行う民間事業者を選定してまいります。

さらに、令和3年度に策定した「手話言語条例及び障がいのある人のコミュニケーション条例」の推進につきましては、基本理念の普及啓発や手話事業などを充実してまいります。

公営住宅における居住環境の整備につきましては、耐震性能が不足している市営住宅及び耐用年数を超えた市営住宅の対策として、西町職員住宅跡地を活用するため、西町職員住宅の解体工事の設計業務等を行ってまいります。

だれもが健康で、いきいきと暮らしていくためには、出歩きたくなるまち、移動しやすいまちであることも必要です。コミュニティバスの利便性向上や利用促進を図るため、利用状況等を調査分析するとともに、運行の支援を行ってまいります。

パリポリくんバス
市立病院を中心に市内3路線を運行
パリポリくんバス

重点テーマ(2) 五大戦略 2.3
ブランド力の向上

重点テーマの二つ目は、「ブランド力の向上」です。

まちの活力を維持していくためには、市民の皆様にとって「いつまでも住み続けたい」と思える魅力あるまちづくりを進めていかなくてはなりません。また、市外の方には、「訪れてみたい、住んでみたい」と思っていただけるまちにしていかなければなりません。そのためには、「草加」という名前に多くの人が魅力を感じていただく必要がありますので、ブランド力を高めながら、シティプロモーションの強化につながるよう、草加の魅力の再発見と構築、内外への発信に取り組んでまいります。

今後も、更なるまちの魅力発信に向けて、都市基盤の整備などのハード面と、にぎわいの創出、子育て支援や教育の充実などのソフト面の両面から取組を進めてまいります。

魅力あるまちづくり

はじめに、「魅力あるまちづくり」に関わる取組について申し上げます。

まちづくりの基本となる計画、草加市都市計画マスタープランは、運用開始から本年で7年目を迎え、新型コロナウイルスなどによる社会状況の変化や関連計画などの改正、東埼玉道路の自動車専用部が事業化され、都市計画道路「蒲生・柿木川戸線」も事業化に向けた取組が始まるなど、市街化調整区域を取り巻く状況が大きく変化していることから、市街化区域への編入も含めた土地利用の検討を行うとともに、都市計画マスタープランの中間見直しに取り組んでまいります。

都市基盤の整備

都市基盤の整備に関する取組につきましては、引き続き新田駅周辺における土地区画整理事業を進めてまいります。昨年12月には、新田駅東口の駅前交通広場の暫定的な供用が開始されました。今後も道路や公園などの公共施設の整備を進め、災害に強い良好な街並み、居住環境づくりを目指したまちづくりを進めてまいります。

新田駅東口整備イメージ図
新田駅東口整備イメージ図

公園・緑地の整備につきましては、本市唯一の総合公園であり開園から約30年が経過する、そうか公園のリニューアルに向けて、基本構想の策定業務を行ってまいります。

また、同公園内のドッグラン広場の運営改善に向けた取組を進めてまいります。

そうか公園
そうか公園

草加らしい文化の振興

文化に関する取組につきましては、第11回「奥の細道文学賞」・第5回「ドナルド・キーン賞」の作品募集と1次選考を行うほか、「草加松原」や「松」をテーマとした絵画を全国から公募する第3回「国指定名勝 おくのほそ道の風景地 草加松原展」を開催し、草加松原の魅力を広く発信することにより、草加に息づくにぎわいと活気にあふれた草加らしい文化の振興を図ってまいります。

草加松原
国指定名勝 おくのほそ道の風景地 草加松原

また、今年は音楽都市宣言が30周年を迎えることから、記念事業の開催などを通じて、音楽のあふれるまちとして、宣言の普及啓発を図ってまいります。

音楽都市宣言30周年記念ロゴマーク
音楽都市宣言30周年記念ロゴマーク

観光

観光に関する取組につきましては、市外からの来街者が草加に訪れてみたいと感じ、さらには市民がまちに愛着と誇りを持てるような「まち」にすることを目的として、第三次草加市観光基本計画を策定します。

また、昨年10月に草加マルイ1階に開設した観光案内所の運営に努め、情報発信や観光案内等の拠点としての機能を高めてまいります。

草加市観光案内所
草加市観光案内所

まちのにぎわいの創出

次に、「まちのにぎわいの創出」についてです。

市内の遊休不動産等を活用したリノベーションまちづくり事業につきましては、これまでも地域資源を活かしたにぎわいの創出に成果を上げており、事業者と消費者が価値観を共有し、経済活動を営む「顔の見える経済循環」が形成されつつあります。令和5年度は、新たに企業版リノベーションスクールを開催するなど、多様な担い手の参画をさらに促進し、なお一層の市内経済の活性化につなげてまいります。

ガイドブックとレポート
そうかリノベーションまちづくりの取り組みがわかる
ガイドブックとレポート

また、草加駅東口駅前広場の整備につきましては、ロータリー内歩道部の舗装等を整備し、草加の顔として誇れる姿に整備してまいります。

子育てをしたい・教育を受けたいと思えるまちづくり

次に、「子育てをしたい・教育を受けたいと思えるまちづくり」についてです。こちらにつきましては、五大戦略に掲げたように「子育て」と「教育」の二つに分類して、推進してまいります。

子育て

まず、一つ目の「子育て」につきましては、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化及び事業の拡充を目的に、その中核となる機関として、令和6年4月からの「こども家庭センター」設置に向け、準備を進めてまいります。

また、厳しい経済状況を踏まえ、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、医療費の支給対象となる子どもの年齢を「通院15歳年度末、入院18歳年度末まで」から「通院・入院ともに18歳年度末まで」に拡大し、令和6年度からの支援開始に向けて制度設計を行ってまいります。これは戦略の中に掲げた施策を実現するものであり、市の財政状況が厳しい中においても将来に向けた投資と捉え、必ず実行すべき施策と判断し、事業実施に向けて取り組んでいくことを決断いたしました。

子どもの豊かな育ちのためには、おいしい給食の提供や保育環境の整備も重要な施策です。

全国に誇る草加のおいしい学校給食を守り、食材の価格高騰の中でも、保護者の負担を増やすことなく、これまでと変わらない量と質の給食を提供できるよう、小学校及び中学校に対して給食食材費の支援を行ってまいります。

給食甲子園で入賞した高砂小の給食
給食甲子園で入賞した高砂小の給食

また、瀬崎児童クラブを開設しているプレハブ校舎の老朽化の状況を考慮して、学校敷地内に新たに児童クラブを建設するほか、公立保育園の耐震化も園児の安全を第一に配慮しながら順次進めてまいります。

教育

二つ目の「教育」につきましては、戦略の中でも特に想いを込めておりますが、今後のグローバル化社会をたくましく生き抜くための英語教育及び国際理解教育の推進を目指し、質の高い語学指導助手の直接雇用を増員します。また、全国や県の学力・学習状況調査を分析した結果に基づき、児童生徒の学力向上を目指して補習等を行います。

また、小学3年生から中学2年生までを対象とした市独自の学力調査を実施し、児童生徒一人ひとりの学習の達成状況・課題を把握し、学習内容の確実な定着を図ってまいります。

医療的ケアを必要とする児童生徒に対しては、一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導を適切に行うために医療的ケア実施支援の充実に努めます。また、階段昇降時に支援を必要とする児童生徒に対して、階段昇降車を配置し、個に応じた支援の充実に努めます。

平和教育に関する取組につきましては、次世代を担う中学生を広島に派遣する平和大使事業を行うとともに、全中学校において、広島で実際に被爆を体験された方の講話や、その体験をもとにした演劇を実施することで、平和や命の大切さについての理解を深めてまいります。

平和の日記念講演
令和4年10月開催 平和の日記念講演

また、草加小学校の西校舎を活用して昭和58年に開館した歴史民俗資料館が令和5年度で40周年を迎えることから、開館40周年を記念した企画展を開催してまいります。

国登録有形文化財の歴史民俗資料館
国登録有形文化財の歴史民俗資料館

大学との連携につきましては、戦略で掲げたように、地域の宝である獨協大学や文教大学東京あだちキャンパスなどと連携を行い、大学と市民による協働のまちづくりに積極的に取り組んでまいります。

重点テーマ(3) 五大戦略 4.5
コミュニティ力の向上

重点テーマの三つ目は、「コミュニティ力の向上」です。

新型コロナウイルス感染症の拡大による行動制限が緩和され、日常生活や経済社会活動が正常化に向かう中で、感染防止対策を図りつつ、地域におけるイベントや会合など、地域のコミュニティ活動も再開されております。

まちづくりを推進するためには、最大の社会資源である「人」の力、人と人とのつながりによる「地域」の力が必要となります。

まちづくりの主役である市民の皆様に、草加の誇る市民力を最大限に発揮していただき、地域自らが様々な課題を認識、共有し、主体的に解決する力の醸成を図り、行政が市民と一体となり、魅力あるまちづくりを進めてまいります。

市民協働によるまちづくり

はじめに、「市民協働によるまちづくり」に関わる取組について申し上げます。

コミュニティ力とは、市民の皆様との協働によって養われる力です。そしてその力の発揮こそが、草加市みんなでまちづくり自治基本条例が掲げる「だれもが幸せなまち」を実現することにつながると考えます。

まず、市民、市議会、市の対等なパートナーシップによるまちづくりにつきましては、みんなでまちづくり会議をはじめとする同条例に基づく環境整備・参画手続により、まちづくりを進めてまいります。

【みんなでまちづくり会議スピンオフ企画】
【みんなでまちづくり会議スピンオフ企画】
大学生と若手職員でこれからの草加を話しました

多忙でオンサイト会議への出席が難しい働く世代や子育て世代などの参画を促すためにも、オンライン方式による会議の開催などの工夫をしながら、より積極的に市民の皆様との対話の場を整備してまいります。

また、同条例第29条に基づき市民検証委員会を開催し、条例の目的にかなった取組が行われているかを検証してまいります。

さらに、次世代を担う子どもたちに「草加市みんなでまちづくり自治基本条例」を理解してもらうため、副読本を作成し、市内小学校に配布します。

みんなでまちづくり副読本Vol.3
みんなでまちづくり副読本Vol.3

行政のパートナーとして魅力ある地域づくりを行っていただいている町会・自治会につきましては、引き続き活動支援と加入促進を進めるとともに、町会等が存在しない地域において、新たな町会の設立に向けた支援を実施してまいります。

実際のまちづくりの一環としては、谷塚駅西口地区における「谷塚駅西口地区まちづくり権利者協議会」との協働による利便性や防災機能向上、良好な住環境づくりの構築を目指し、令和6年度までの基本計画策定に向けて取り組んでまいります。さらに地域で活動を行っている方々との連携による社会実験の実施など、地域一丸となってのまちづくりを目指します。

市民活動・支え合い

次に、「市民活動・支え合い」に関わる取組について申し上げます。

草加で共に生きる方の中には、ロシア連邦によるウクライナ侵攻から逃れてきた方もいらっしゃいます。市内に住まう避難民の方については、今後も医療費の支給や公営住宅の提供等の支援を継続して行います。

また、障がいのある方々がこれまで以上に暮らしの豊かさや地域社会とのつながりを実感できる「福祉プラスのまちづくり」として、地域における障がい者の社会参加促進等につながる取組を実施し、お互いが尊重し支えあう共生社会の実現に向けた取組を進めてまいります。

福祉プラスのまちづくり講演会
福祉+プラスのまちづくり講演会

女性の積極的な登用

また、特定の重点テーマには位置づけられませんが、市政運営にあたり、女性の積極的な登用を推進してまいります。意欲・能力のある女性職員を管理職等に登用を図る上では、様々な事情をもつ方でも仕事と家庭の両立が図れるよう、できる限り寄り添いながら、適切な人物にその任を担ってもらえるようにしてまいります。

以上が令和5年度に取り組んでいく主な事業でございます。

また、本市の取り組む全ての分野を網羅した最上位計画である、第四次草加市総合振興計画は、平成28年度の策定から、本年で8年目を迎えます。

本市を取り巻く社会情勢が大きく変化する中で、令和6年度から始まる第三期基本計画につきましては、これまでの成果や課題などを踏まえ、時代の変化に対応した計画となるよう、策定作業を進めてまいります。

むすびに

私は、先月9日、獨協大学35周年記念館アリーナにおいて開催された「二十歳のつどい」に参加し、皆様のこれからの人生へのエールを送るとともに、是非、草加の未来に向けたまちづくりに、力を貸していただきたいです、とお願いをさせていただきました。

二十歳のつどい
二十歳のつどい

市長就任以来、私は、「だれもが幸せなまち 草加」を市のステートメントとして掲げてきておりますが、何をもって幸せと感じるかについては人それぞれかと思います。

私が考える幸せとは、「周りから大切にされていること、愛されていることを実感し、自分自身をかけがえのない大切な愛すべき存在だと感じられること」「自分が属する社会の一員として、その社会に貢献している、その社会をつくり上げている一人だと感じられること」また「自分の可能性が最大限に開花されること」などであると考えています。

私は、市民のお一人おひとりが、このような幸せを感じるまちづくりをしていきたいと考えています。そのためには市民の皆様、市議会の皆様のお力が欠かせません。市民自治の原則にのっとり、様々な機会を捉えた対話を通じて市民の皆様とのつながりを深め、一緒にまちづくりを進めていきたいと思います。

そして、本市の魅力を常に発信することで、これからの将来、人口減少により自治体間競争がさらに激しくなる中においても、選ばれるまちとなっていくことが重要であると考えます。市の持続可能性を高めるためにも、子育て世代の皆様に選んでいただけるよう、インパクトとメッセージ性の高い手法を検討しながら、子育てや子育ち・教育に係る直接的・間接的な政策に関する発信力を高めてまいります。

また、庁内においても草加の未来を見据え、全庁一丸になって取り組む活力を生み出していくことも大切であると感じています。部局の垣根を越えた職員の交流を促進し、若手職員が積極的に業務の改善や事業の企画提案を行えるような雰囲気づくりにも努めてまいります。

5月の連休明けには新庁舎への移転が行われ、新しい環境での市政運営がスタートします。明るく希望に満ちた草加の未来に向けた大きな一歩を、皆様と共に踏み出すことを期待しています。

最後になりますが、本市の発展のため、市民の皆様、市議会の皆様のより一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、令和5年度の市政に臨む所信といたします。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

草加市長 山川百合子

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