更新日:2024年2月26日
第2回 おくのほそ道 草加松原国際俳句大会 入選作品発表
The 2nd Oku-no-hosomichi Soka Matsubara International Haiku Competition Result
第2回目の開催となった「おくのほそ道 草加松原国際俳句大会」。自由な題材で詠む雑詠句と、日本語俳句では草加のシンボルである「松、松並木、草加松原」を入れたテーマ句を募集しました。
日本語俳句は、2,598人から合計7,555句、外国語俳句は31ヵ国157人から合計568句のご応募をいただきました。
たくさんのご応募、ありがとうございました。
厳正な審査により選ばれた作品を発表します。
選者(敬称略)
日本語俳句
- 黒田杏子(俳人・エッセイスト、俳誌「藍生」主宰)
- 井上康明(俳人、俳誌「郭公」主宰)
外国語俳句
- 長谷川櫂(俳人、朝日俳壇選者)
- ディヴィッド・バーレイ(アイルランド出身、国際俳句交流協会会員)
日本語俳句 入賞作品一覧(敬称略)
日本語俳句入賞作品は、次のとおりです。
入選作品については、下の関連ファイルからご覧ください。
草加市長賞(雑詠句大賞)
しよぎしよぎと処暑の御煎にぬる醤油 東京都練馬区 明惟久里
- 黒田杏子評
しよぎしよぎと処暑の処が響き合って、名物草加せんべいが出来上ってゆく過程が楽しく描写されています。
せみたちががっしょうしてるまつなみき 草加市立栄小学校1年 船山陽菜
- 黒田杏子評
素直・素朴に優るものはありません。一字一句素晴らしい。いつまでも忘れられない句ですね。おめでとうございます。
おくのほそ道 草加松原賞(テーマ句大賞)
夭夭と張る松ヶ枝に祭り笛 埼玉県草加市 青木ひろ湖
- 黒田杏子評
格調のある句として推薦できます。夭夭と張る松ヶ枝に祭り笛が配されて、一層格調が上りました。
色変へぬ松や点字の手紙書く 茨城県立並木中等教育学校4年次 鈴木七海
- 黒田杏子評
点字の手紙書く。ここが当たり前ではありません。何か心に残る作品です。色変へぬ松やと持ってきたところも素晴らしい。
一般の部 特別賞
草加市文化協会賞 日本恋ふ怒鳴門の碑や緑さす 埼玉県上尾市 須賀遊子
- 井上康明評
ドナルド・キーン筆の「名勝 おくのほそ道の風景地 草加松原」と書かれた碑を思い出す。日本国籍を取得、日本文学に造詣が深く、生涯日本への思いを貫いたドナルド・キーン。「緑さす」とは新緑が映えている意。「怒鳴門」という漢字表記にも味わいがある。
奥の細道紀行賞 月涼し一本道の松並木 東京都足立区 安西信之
- 井上康明評
「月涼し」は涼しさを感じさせる夏の月の意。松並木の下の街道が青白く月光を浴びてまっすぐに続く。松並木は夏の緑に染まり、街道は一途につづいて、殊更爽涼である。
草加市議会議長賞(小学生の作品)
朝練のカヌーのしぶき松なみ木 草加市立西町小学校3年 樫村咲衣
- 井上康明評
「カヌー」は夏の季語。試合に備えての早朝練習、カヌーを漕ぐと飛沫が朝日にきらめく。その一生懸命な姿を松並木が見守っていることだろう。夏の朝の爽やかな情景。
まつの木はなんでずーっとみどりなの 草加市立松原小学校2年 山口梨紗子
- 井上康明評
語りかける親しい感じが生きている。「色変えぬ松」という秋の季語があるように、松は一年中緑を保つ。誰も疑問に思わない当たり前なことに注目する、新鮮な驚きがある。
草加市教育長賞(中学生の作品)
亡き祖父に語り清める墓参楽し 草加市立松江中学校3年 田島功貴
- 井上康明評
墓参りは秋の季語。秋の彼岸の墓参りを想像する。墓を掃除しながら、そこに眠るおじいさんに語りかける。清らかな秋のひととき、作者は、おじいさんとの交流を楽しんでいる。
松原によせる波音星月夜 山口県立高森みどり中学校2年 檜枝花海
- 井上康明評
星月夜は秋の季語。満天の星が月夜のように輝く星明りの夜のこと。情景は海辺を思わせる。繰り返し寄せてくる波が砕け、空には秋の星空が広がっている美しい情景を描く。
奥の細道サミット賞(高校生の作品)
雪深しランドセルには守り鈴 済美高等学校2年 青野莉音
- 黒田杏子評
守り鈴が素晴らしい。歩くたびにその鈴が鳴るのです。深い雪の道を歩いて登校する。雪国ならではの一行です。
松は言う「気取ることなく生きたい」と 愛媛県立今治西高等学校1年 饗庭貴純
- 黒田杏子評
じっと松を見つめておられたのでしょう。「気取ることなく生きたい。」素晴らしい言葉。生き方を学ばれましたね。
黒田杏子選「特選」
馬柵深くにれかむ牛の大夏野 栃木県那須郡那須町 平岡丈子
- 黒田杏子評
いきいきとした句のよろしさ。大夏野という言葉も効いています。一語一語が生きています。
碧眼の見習ひ庭師松手入れ 神奈川県横浜市 岡まゆみ
- 黒田杏子評
みどり深き松の手入れ。碧い眼の見習ひ庭師さん。松手入れ、で止めたところ見事と思います。
鰯雲生きていること生きること 茨城県立結城第二高等学校3年 木村愛子
- 黒田杏子評
生きていること生きていること。この言葉は素晴らしい。鰯雲のあふれる大空をじっと眺めていて胸の底から湧いてきた言葉。いいですね。
雄雄しくて堂々たるや男松 阿南市立阿南第一中学校2年 高橋聖花
- 黒田杏子評
まさに男松讃歌。このような句もまた生涯残る一行でしょう。単なる松ではなく男松と言い切ったところ。成功しました。
井上康明選「特選」
源流は雲踏むところ初紅葉 埼玉県川口市 櫻井松翠
- 井上康明評
木立が初めての紅葉に染まる時節を迎えた。眼前の流れの源流に、雲を踏むような幽邃(ゆうすい)な山岳を想像している。初めての紅葉の弾むこころと、遥かな山岳に湧く雲との対比に詩情がある。
羅馬の松草加の松も緑立つ 埼玉県南埼玉郡宮代町 鈴木清三
- 井上康明評
ローマの松と草加の松と並列することで眼前の草加の松の新緑の鮮やかさが迫る。「ローマの松」とは、アッピア街道の松並木。ローマと草加との思いがけない繋がりに驚きがある。
青い空入道雲が襲い来る 大阪薫英女学院中学校2年 吉川愛未
- 井上康明評
夏の太陽が地面を照りつけると、熱気とともに入道雲が青空にいきなり湧き上がる。その勢いが、作者を襲ってくるように感じられたのである。入道雲を臨場感とともに激しく描いている。
松ぼくり投げれば空にぶつかれり 岐阜県立吉城高等学校3年 田上風
- 井上康明評
松ぼくりは、今年できた青い松かさのこと。秋の季語。その松ぼくりを拾って空に投げた。吸い込まれるような青空である。投げてすぐ落ちて来た一瞬の印象をたしかに捉えている。
角川『俳句』編集部賞
つまづかず潜る茅の輪や嫁御寮 神奈川県横須賀市 比留間加代
- 黒田杏子評
白嫁衣装の華やかさ。しとやかに一歩一歩進んでゆく。嫁御寮という言い方もとてもよろしいですね。
真夜中にキューンキーンと鹿の声 岐阜県立吉城高等学校2年 岡田千佳
- 井上康明評
鹿は秋の季語。雄が雌を求めて鳴くという。その鳴き声を「キューンキーン」と作者は捉えた。この鳴き声に独特の真実味がある。鹿の切ない思いが伝わってくる。
外国語俳句(英語・フランス語) 入賞作品一覧(敬称略)
Foreign language haiku(English/French) Award winning works
外国語俳句における「大賞」、「特別賞」、選者賞「特選」に選ばれた作品は、次のとおりです。
選者賞の「秀作」及び「入選」、選者による選評は、下の関連ファイルからご覧ください。
選者賞の「秀作」及び「入選」、選者による選評は、下の関連ファイルからご覧ください。
The following works have been selected as "Grand Prize", "Special Prize", and " Selector’s Special Selection " for foreign language haiku.
Please see the related files below for the "Outstanding Haiku" and "Honorable Mentions”, as well as the Prize-Winners and Comments by Selectors.
草加市長賞 Soka Mayor’s Award (Grand Prize)
il neige du silence
sur le silence
avant l’aube Zlatka Timenova (Portugal ポルトガル)
- 日本語訳
静けさから静けさへ
雪が降る
夜明け前
草加市文化協会賞 Soka City Culture Association Award (Special Prize)
gentle breeze
how the dandelions change
from suns to moons Vandana Parashar(India インド)
- 日本語訳
そよ風よ
なんとたんぽぽは姿を変えることか
太陽から月へ
奥の細道紀行賞 “Oku-no-hosomichi”Anniversary Award (Special Prize)
infused with scents of
petrichor and pine resin
a new path beckons @ayeshakajee(South Africa 南アフリカ)
- 日本語訳
新しい道が招く
雨のあとの土と松ヤニの匂いが
混ざり合って
長谷川櫂選「特選」 Hasegawa Kai selected「Special Selection」
you and I met like
arrows colliding in the
midst of nothingness Mark Greenhouse(USA アメリカ)
- 日本語訳
君と僕は出会った
無の真ん中で
ぶつかる矢のように
ディヴィッド・バーレイ選「特選」 David Burleigh selected 「Special Selection」
wooden snow fences collecting my thoughts Julie Bloss Kelsey(USA アメリカ)
- 日本語訳
雪の柵、私の思いが澄んでいく
応募総数
日本語俳句
- 応募人数
2,598人(一般の部307人、小・中・高校生の部2,291人) - 応募句数
7,555句(一般の部1,163句、小・中・高校生の部6,392句)
外国語俳句
- 応募人数
157人(英語143人、フランス語14人) - 応募句数
568句(英語518句、フランス語50句)
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文化振興係 電話番号:048-922-2968 ファクス番号:048-922-3406
観光交流係 電話番号:048-922-2403 ファクス番号:048-922-3406
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