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草加市 SOKA CITY

雷神様

更新日:2011年5月25日

広報そうか 第365号 昭和56年7月20日号

田んぼに降りた守り神

雷神様

(8)雷神様(両新田西町)

これからは雷のシーズンを迎えます。激しい夕立ちとともに耳をつんざく雷鳴に、思わず肩をすくめてしまう人も多いのではないでしょか。

雷は現在でこそ科学的に解明され、怖さも薄らいだ感がありますが、古代から“天の原ふみとどろかし鳴る神”……なるかみ、といわれ、その威からさまざまな形で神格化されてきたようです。

来春に開校する予定の(仮称)新里第二小学校の北側に「雷神」の二文字が刻まれた、小さな石碑がおかれています。

ずか五十センチほどの石碑の中に、この地に住む人々が雷に対して抱いてきた崇敬の心がこめられています。

稲穂がもうすぐこがね色になろうかというある日のこと。村の古老、長兵衛さんは一日の野良仕事も終え、ゆっくりと冷たい井戸水でのどをうるおしていました。

「やれやれ」と、腰をのばして天を仰いでみれば、先程までの天気がうそのようにあたり一面がかき曇ってきました。間もなく大粒の雨が落ちはじめ、空には稲光りが走り雷鳴がとどろき渡るありさまです。急いで家にもどった長兵衛さん、ふとんにもぐり込む孫たちを尻目に「日照りもこれで助かるわい」とつぶやいた時、“バリバリッ”という音に続いて大音響と地響きが起こりました。

あまりの恐ろしさに、気を失ったまま倒れていた長兵衛さん、あくる朝になって、おそるおそる外に出てみました。すると、田んぼの中に稲が倒れて丸く黒こげになっている場所を見つけました。

雷様が降りた所だと直感した長兵衛さんはすぐに土盛りをしてから黒松を植え、しめなわを張って雷様をまつりました。

やがて、実りの秋を迎えましたが、長兵衛さんの家ではかつてない豊作に恵まれたため、雷様の御利益と、「雷神」の石碑を作ったのでした。

その後も石の雷様は正月にはおそなえを、節分には豆をもらうなど大切に守られてきました。

この雷様のまわりもほんの二、三十年前まではあたり一面田んぼで見晴らしもよく、小山の上では女学生たちが大きく育った黒松をバックに記念撮影をしたこともあったそうです。しかし、現在では松も枯れ、周辺の宅地化が進んで小山の高さも感じられません。

雷様はこれから虫の音を聞き、そしてひっそりと北風に耐えていかなければなりません。年が明けやがて桜の花を迎えるころには新一年生の登校姿を見守ってくれることでしょう。

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