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第10回奥の細道文学賞、第4回ドナルド・キーン賞 受賞者コメント

更新日:2021年11月24日

文学賞 受賞者コメントトップ画

令和3年9月23日(木曜日・祝日)に開催予定だった第10回奥の細道文学賞、第4回ドナルド・キーン賞授賞式は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、残念ながら中止となりました。
授賞式に代わり、受賞者の皆様からいただいたコメントをご紹介します。
また、最終選考委員(堀切実氏、黒田杏子氏、長谷川櫂氏)による作品講評については、現在発売中の第10回奥の細道文学賞、第4回ドナルド・キーン賞受賞作品集に掲載しております。
受賞作品集は1冊700円で、草加市立央図書館等のほか、草加駅東口より徒歩1分の高砂ブックスでもお買い求めいただけます。
 

受賞コメント

第10回奥の細道文学賞

大賞

  • 福岡 完(奈良県)
  • 作品名「しぐるるや」
福岡完氏

「自分のことなどのつもりが……」
自分や自分にかかわることなど人前で話すものではないし、第一、話すほどのことは何もないと思って生きてきたのですが、このたびの受賞でささやかな信条が吹き飛んでしまいました。わたしはたぶん、受賞なんかするはずがないと思っていたのでしょう。
おやじの葬式でおやじが俳句をひねっていたとわかったことが、そもそものおおごとの始まりでした。おやじもわたしも俳句の素人。その二人が俳句なるものに一生懸命になっている。その姿が選考委員の先生方の哀れを誘ったものにちがいありません。まことにありがとうございました。
何かの機会がありましたら、受けたご恩に報いたいと思っております。

優秀賞

  • 及川 佑 (岩手県)
  • 作品名「座敷童子路」
及川佑氏

今回、第10回奥の細道文学賞にて優秀賞を受賞しました、及川です。
自分の書いた作品が賞をいただいたことに大変驚きました。
選考委員の方々に認められたことは、素直に嬉しく、感慨深いものがあります。
芭蕉の求めた軽みがこの作品のどこかにでもあれば幸いです。
この度は本当にありがとうございました。

優秀賞

  • 森江 武典 (神奈川県)
  • 作品名「父の足跡を辿る」
森江武典氏

このたびは優秀賞に選んでいただき誠にありがとうございます。
作品に書いた父との思い出を三つ書かせていただこうと思います。
高校生のとき、父と入った喫茶店の名が「トカトントン」でした。「『トカトントン』って太宰の短編の名前だよ」太宰を読み始めた頃だったので、父に自慢するように言ったのですが、父は笑いながら、「そういうの、釈迦に説法って言うんだよ」と言ったのでした。父は尋常小学校しか出ていませんし、仕事人間だと思っていましたので、まさか文学に興味があるとは思いもしませんでした。
父は晩年、歴史について学ぶようになり、カルチャーセンターの仲間と自費出版をしたようですが、そのとき、「原稿を見てくれ」と言われたことがありました。手伝いたい気持ちもありましたが、父の原稿を赤字で真っ赤にするのは忍びなく、「好きなように書けばいいよ」と言ったのでした。その父も最期のときが近づき、ちょうど一万円のマンゴーが話題になっていたときだったので、「あんなのどう?」と聞いたのですが、父は「どうせなら初茸が食べたい」と。初茸?なんだそれは。早速、ネットで検索し、取り寄せてみると、なんのことはない、子どもの頃、埼玉県にもよく自生していた茸でした。懐かしさもあって絶品でしたが、足が早くて市場に出回らないのが残念です。
今回の入賞作品はもう故人である父に読んでもらうことはできませんが、仏壇に飾らせていただきます。
末筆ですが、選考委員の皆様、事務局の皆様ほか、奥の細道文学賞に関わったすべての皆様に厚く御礼申し上げます。

佳作

  • 鈴木 篤夫 (福島県)
  • 作品名「男鹿半島」
鈴木篤夫氏

佳作入選は望外のことで、母との良い記念になったと大変喜んでおります。
審査の先生、関係者の方々にお礼申し上げます。ありがとうございました。
この一年半のコロナ禍もようやく収束の兆しが見えはじめました。恥ずかしながらそぞろ神ではなく、食欲と怠け心に取りつかれて、また母と遠出してどこかの温泉宿で「両の足を、のびやかに、ゆるゆると伸ばしたい」という思いが止まない此の頃です。

第4回ドナルド・キーン賞

大賞

  • 川本 皓嗣(東京都)
  • 作品名「俳諧の詩学」(岩波書店、2019)
川本皓嗣氏

キーン先生の『日本の文学』
日本文学研究の巨人、ドナルド・キーン先生にちなむ賞を頂戴できるとは、まことに望外の喜びです。
今年2021年の夏、日本比較文学会の大会で、もっぱら先生の『日本の文学』Japanese Literature だけを論じるシンポジウムが催されました。この小さな本は、第二次大戦後間もない1952年、日本文化などは中国の猿真似以外の何物でもないと西洋ではまだ堅く信じられていた時代に、先生がケンブリッジ大学で行った連続講演をまとめたもので、翌年イギリスで出版されました。これが先生の初めてのご著書で、のちに先生が築き上げられた膨大なご業績に比べれば、ごく小ぶりな序曲のように見えるかもしれません。
しかし、シンポジウムを機にあらためて読み返してみると、半世紀以上も前に受けた感動がまざまざと甦ってきました。若き日の先生が、ともすれば鼻であしらおうとするイギリス人の学生たちを前に、ほとんど義憤にかられたかのように、達意の散文に数々の美しい引用をちりばめながら、和歌や能、俳句や連句、『源氏物語』や『平家物語』、近松の人形芝居などを熱っぽく語り続けた内容は、まさに目を見張るような卓見につぐ卓見で、まだ比較文学の勉強を始めたばかりの私をすっかり夢中にし、将来自分の進むべき方向をあざやかに指し示してくれたのです。
今回賞をいただいた『俳諧の詩学』は、『日本詩歌の伝統―七と五の詩学』(岩波書店、1991)を手始めに、その方向に向かって私が曲がりなりにも歩んできた道の終点近くで得たささやかな収穫です(まだもっと先があることを願っていますが)。拙著に目を止めてくださった堀切実・黒田杏子・長谷川櫂の諸先生に心からお礼を申し上げます。

ドナルド・キーン特別賞

  • 毬矢 まりえ、森山 恵(東京都) 
  • 作品名「源氏物語 A・ウェイリー版」(左右社、全4巻)
毬矢まりえ氏、森山恵氏

キーン先生は、十八歳の秋のある日、ニューヨークの書店でこのウェイリー訳『源氏物語』に出逢われました。ワゴンセールで四十九セント、お得だったから、と買い求められた逸話はあまりに有名でしょう。読み始めるとたちまち心を奪われ、この一冊がキーン青年の人生を決定づけたのでした。
幸いにも私たちは、キーン先生のお目に掛かる機会がありました。黒田杏子先生の「件の会」でのこと。ウェイリー訳『源氏物語』の英語版を胸に抱えて列に並んでいた私たちに、気付いてくださったのです。すぐに笑顔で、英語で話し始められました。まるで旧知の間柄のように。なんの前置きもなく、嬉々として。私たちは同じ作品で固く結ばれていたのでした。私たちの戻し訳の計画には驚かれ、励ましのお言葉を賜り嬉しく、翻訳の長い道のりのなかで、どれほど支えになったかわかりません。
完結を見届けて頂くことは叶いませんでしたが、第一巻をお送りした折りに、「姉妹の素晴しい仕事です」とのお言葉を頂きました。
このたび思いがけず、黒田杏子先生、長谷川櫂先生、堀切実先生のご推挙で、草加市主催の「ドナルド・キーン特別賞」を賜ることとなりました。紫式部、アーサー・ウェイリー、ドナルド・キーンという偉大なる山脈のはるか山裾に連なれたのかもしれない、とただただ畏れ多く、感謝の念でいっぱいでございます。キーン先生のあの生き生きとした少年のような笑顔を忘れることはないでしょう。

このページに関する問い合わせ先

文化観光課
住所:〒340-8550 草加市高砂1丁目1番1号
文化振興係 電話番号:048-922-2968 ファクス番号:048-922-3406
観光交流係 電話番号:048-922-2403 ファクス番号:048-922-3406

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