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草加市 SOKA CITY

狐の嫁入り

更新日:2011年3月31日

広報そうか 第382号 昭和57年4月20日号

暗い夜道に嫁入りの行列

狐の嫁入り

(24)狐の嫁入り(柿木町)

みなさんは、こういった経験がありませんか。たとえば、あまり空腹だったので石をおまんじゅうと間違えて口に入れてしまったとか、道できれいな人を見かけて、後をつけていって気がついてみると自分の家の前だったとか。さすがに最近ではそんな話は聞かなくなりましたが、この話は素朴で人のいい昔の人々のお話です。

昔むかし、草加宿から少し離れた所に農夫が住んでいました。この人は妻子がいて、大金持ちでもなくその日の生活に困るほどでもないといったごく普通の、どこにでもいるような農夫でした。この人の自慢なことといえば、どんなに暗くとも目が見えて、夜に向こうから来る人が気がつく前にだれだかわかることぐらいでした。「おーい、与作さん」、「おれを呼ぶのはだれだ。もしかすると、隣のおやじさんか。まったくふくろうのような人だべ」。

ある日、仕事が忙しくて気がついてみるとあたりは、もうまっ暗でした。「ありゃ、こんなに暗くなってしまった。早く帰らなければ」と急いで帰り支度をして、朝来た道を引き返していきました。「それにしても今夜は、だれにも会わないな。それほど遅くなってしまったのかな」と思いつつ、家路を急いでいると、向こうの方から馬のひづめの音が聞こえてくるではありませんか。だんだんと音が大きくなってきたので、あわてて草むらに姿を隠しました。

すると、ちょうちんを手にした二人の男を先頭に一団の行列が見えてきました。そして、馬上にはきれいな衣装の女の人が乗っていました。さすがに顔までは見えませんでしたが、何やら嫁入りの行列のようでした。この農夫は我を忘れたように、この一団が見えなくなるまで見届けていました。

家に帰り翌朝、妻に昨夜の出来事を話すと、「あんた、何いってるの。そんな夜遅くに嫁ぐわけないし、ここらへんの人で嫁に行くという話は聞いていないわよ。目がおかしくなるほど無理して働くと体をこわすわよ」、と相手にしてくれません。ところが、村人たちに話すと、「わしも見たことがある」という人がけっこういるのです。「このへんは狐が出るというから、化かされたのでは」という声がありましたが、「いやいや、案外、狐そのものが隣村の狐に嫁入りするのかもしれん」とい長老の言葉に、一同は同感したものでした。

暗い夜道にあやしげな嫁入りの行列-その正体は、狐だったというお話でした。

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