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草加市 SOKA CITY

長泉寺の狸

更新日:2011年3月31日

広報そうか 第366号 昭和56年8月5日号

過ぎたいたずらに熱い仕打ち

長泉寺の狸イラスト

(9)長泉寺の狸(柿木町)

狸(たぬき)とお寺にまつわる話は各地にたくさん残っています。証誠寺の狸ばやしは有名で、歌にまでなっています。

その昔、柿木町の中央に長泉寺というお寺がありました。江戸末期に建立された大きなお寺で、あるお寺の隠居寺でした。

ある日、この寺に年老いたお坊さんが移り住んできました。このお坊さんは、狸が好きでたいへんかわいがっていました。当時は、狸やムジナが野生していて、しょっちゅう境内を歩き回っていました。心やさしいお坊さんは、こんな時、決まってエサを与えましたので、自然と狸もお坊さんになついてきました。この中の一頭が特にお坊さんになつき、一緒に生活するようになりました。お坊さんが三尺(約1メートル)四方の囲炉裏(いろり)で煮炊きをしたり、まきを燃やして暖をとっていると、どこからともなくひっこり現れ、そばに座って愛きょうを振りまきました。こんな狸にお坊さんは目を細めながらハシで食物を与えました。

しかし、この狸はお坊さん以外にはいたずらのし放題で特に農民には手に負えないほどの悪事を働きました。お寺の近くには十五、六軒の農家があり、農業で生計を立てていました。一帯は低湿地のため、耕作には約1キロメートルほど離れた高台まで出かけなければなりませんでした。毎日重い農具を背負って田んぼへ向かう農民は、必ずお寺の前を通っていきます。狸はこんな農民を待ち伏せして石や棒きれを投げつけました。特に、日も暮れて、疲れ果てた体で家路を急ぐ時などは、農具を奪ったり、気味の悪い蛇などを投げつけたり、また、おばけに変身して驚かしたりといたずらも一層度を増しました。困り果てた農民は、意を決してお坊さんに直談判に向かい、何とか処分してくれるようにと涙ながらにお願いしました。

これを聞いたお坊さんは、隣近所の人々の訴えにかわいい狸をどうしたものか、と以来寝つかれない夜が続きましたが、とうとう狸を処分しようと決心しました。

そして、ある晩、いつものように囲炉裏のそばで食事をしていると例によって狸が現れました。お坊さんは最後に好物を一つ与えると、やにわに炉ばたにある真っ赤に焼けた金火ばしを取り出し、狸の急所に押しつけました。狸は一声、ギャーとわめいてお寺を逃げ出し、二度と戻ることはありませんでした。

以来、村は平穏になり、農民たちも安心して農業に精を出すことができたそうです。

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