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草加市役所

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獨協大生現場レポート4:多文化共生

更新日:2019年1月31日

1.はじめに

皆さんは「草加国際村一番地」をご存じだろうか?「草加国際村一番地」とは、草加市国際交流協会が主催する国際交流フェスティバルで、毎年獨協大学で開催されている。会場には海外の食べ物や服、雑貨などが並べられており、異文化と触れ合い、知ることができる。また、在留外国人支援を行っているNPO法人「Living in Japan」の皆さんもブースを設け、活動のPRなどが行われている。

「草加国際村一番地」を知ってから、私たちは「草加市の多文化共生」について興味を持ち、草加市における外国籍市民への支援について、研究していくことを決めた。そして今回、草加市役所内で草加市国際相談コーナーを運営しているNPO法人Living in Japanの簗瀬裕美子代表理事から実際にお話を伺うことにした。
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2.事業の概要

草加市国際相談コーナーは草加市との協働事業として、平成15年4月に市役所内に開設された。民間団体が運営主体となって市役所内で活動することは全国的に珍しいそうだ。国際相談コーナーでは日本語を母語としない、また日本文化を母文化としない市民に対する生活支援と児童・生徒に対する学校編入・転入や日本語学習の支援を主な事業としている。市内に住む外国籍の方が増えていくのと比例して、相談件数やサポート内容も増えてきているようだ。

3.現場視察

まず、私たちは草加市役所内にある国際相談コーナーへ伺い、現場の様子をお話ししていただいた。
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ここでは、1外国人児童・生徒サポート、2外国籍市民日常生活サポート、3国際理解・啓発、4交流を中心に活動しており、特に1に力を入れているようだ。これらの事業を市役所と共同で行っており、単体で運営するよりも共同で行うことで繋がりができ、ネットワークが広がるそうだ。お話を伺っていく中で「教えた子たちが街中で声をかけてくれる」「高校に行った子がお菓子を持って遊びにきてくれる」といったお話が印象的で、嬉しそうに話していただいた。長年のスタッフの方の親身な活動がそういった点にも表れているのだと感じた。

また、獨協大学西棟で毎週月曜日に市内の外国人児童・生徒を対象に開かれている「にほんごで勉強会」でもお話を伺った。ここでは、生徒一人の力では解くことのできない問題や学校から出された宿題の解き方などを教えている。
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生徒たちはLiving in Japanのスタッフの方や獨協大学国際親善クラブの学生のサポートを受けながら、真剣に取り組んでいた。簗瀬代表理事にお話を伺ったところ、より年齢の近い大学生に勉強を教わることで、子どもたちが「自分も大学生になりたい!」といった近い将来の目標を持つことに繋がるとおっしゃっていた。

日本語を母語としない生徒たちに勉強を教える中では、教わったことをしっかり定着させ、その先も使いこなせるようになることを心掛けているそうだ。また、気軽に参加できるよう、教室にいつも必ず誰かがいるという環境を作ることを大切にしているという。生徒たち一人ひとりに寄り添って丁寧に指導する姿が大変印象に残った。

4.感想・今後の展望

Living in Japanの皆さんは、これまで行ってきたサポートに加えて、これからは外国籍市民の方の「防災」にも取り組みたいとのこと。外国人の方が避難された際のコミュニケーションツールとして日本語だけでなく多言語のキットを避難所に置くなどや、外国籍市民の皆さんの避難所生活を支援する体制づくりを行いたいとのことで、獨協大学との連携も図りたいとのことだった。今回、お話を伺っていくなかで、スタッフの皆さんの熱意をひしひしと感じ、一生懸命に支援されていると感じた。

「にほんごの勉強会」を訪問した際には、お話を伺うだけでなく、実際に生徒に数学を教える体験もさせていただいた。生徒が勉強している内容は高校入試に用いられる「北辰テスト」。
実際に教えてみた感想としては、「難しい」の一言に尽きる。北辰テストは基礎を応用した問題が多いためレベルが高い。恥ずかしい話ではあるが、問題をこちらが理解するのも一苦労だった。そして次に、問題や言葉を如何に生徒に分かりやすく説明するのかということに苦戦した。例えば、「数が余らないように」という言葉をどうしたら理解してもらえるのか。概念を説明すればいいのか、言い回しを変えればいいのか、他に伝えられる手段はないのか、といった試行錯誤の繰り返しだった。
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日本人の生徒でも難しい北辰テストは、日本語を母語としない生徒が解くには到底難しいのではないかと思ってしまった。しかし、中には問題文を理解し、問題の内容ときちんと向き合えている生徒もいた。少人数の生徒に対して多くの講師を配置することで濃い授業ができていると感じ、また、分からない問題を必死に理解しようとする姿には生徒の強い学習意欲も感じられた。

また、学習内容を生徒のレベルに合わせることが大切だと思った。視察は今回が初めてであるため、これまで生徒がどの程度のレベルまで理解したのか私たちには分からなかったが、基礎が理解できていないまま応用問題の多い北辰テストの内容を教えるのは、生徒だけではなく、教える側の負担も大きいのではないかと感じられた。

しかし、生徒と寄り添いながら一緒に考え、問題を解いていくことができる環境は、他にはない特別な空間である。私たち学生にも外国籍の方に対してできる支援は身近にある。より良い多文化共生を実現させるには、互いに手を取り合って生活していくことが重要ではないだろうか。

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市役所内の国際相談コーナーで活動されているNPO法人「Living in Japan」の皆さん

獨協大学法学部大谷ゼミ4班 今井諒、須田敦也、中屋貴顕、高倉万由子、中田滉己、林崎真帆

編集後記

今までなかなか触れる機会がなかった外国人住民支援の取り組みについて、実際に支援に携わる方々のお話を聞くことができ、大変勉強になりました。外国人の方々が言語や生活文化の異なる日本で暮らして行く上では、わからないことや慣れないことばかりで大きな不安を感じると思います。そんな時に、日々のわからないことや一人ひとりの不安に寄り添い、サポートしてくれる存在があることが、外国人住民の皆さんが安心して生活するための大きな支えになると感じました。
これを機会に、様々な文化を持つ人々が同じ地域で快適に暮らしていくために私たちにはどんなことができるのか、多文化共生という視点から考えていきたいと思います。

このページに関する問い合わせ先

市長室 広報課
住所:〒340-8550 草加市高砂1丁目1番1号
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